
バー「未来」268 佐賀崎漁港店
きっと、海車のタクシーで来たんだろう。
潮の匂いを連れて、寺島進がカウンターに座る。
昔は、あの素敵なチンピラ感。
尖った目つきも、どこか憎めない口元も、
歳を重ねると、こうもダンディーになるものか。
もっとも、行儀よく収まる男には見えない。
そこがいい。
迎えるのは、かなり若いママ。
この場末の売りであり、店の主でもある。
男の渋さにいちいち感心するでもなく、
「あら、おかえり」と当たり前に迎える。
なかなか肝が据わっている。
漁港の夜は早い。
けれど、この店の灯りはまだ消えない。
店の名前は「未来」。
未来の話はママに任せて、
男はもう一杯、ウイスキーを頼む。
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